スプーンというルアー【少しマニアックな話】

スプーンについて

私(筆者、男)は釣りが大好きです。
反面、釣りが全てではありません。
旅行や友人との飲み会、競馬やアウトドア、音楽や女の子とのデート、割と仕事も好きです。
そしてめんどくさがりで釣りの準備や片付けがきらい、大荷物がきらい、服を重ね着することすらきらいなミニマリストです。
でも、釣りが大好き。

幼少期から釣りが好きで日常の中に釣りがあるような環境で育ちました。
当時は遊ぶことが全てという生活であり、その遊びの中心には釣りがあり、お金はないし足も自転車しかないけれどもずっと釣りのことを考えていた気がします。
月に1回父親が買ってきてくれる釣り雑誌と同級生の釣り仲間から得る知識や情報を元に、お小遣いはほとんど釣り具に費やしていました。

そんな環境だったため今とは違い釣りの準備は楽しかったですし、持っているルアー等を全て釣り場に持って行くのも苦ではありませんでした、そんなにたくさんルアーを持っていなかったので大したことはありませんが。

しかし大人になり、仕事があり付き合いがあり、また釣り以外の趣味もできたりして幼少期と比べるとお金と車はあるけれど釣りに費やす時間や体力が減ったのは事実。
またそんな環境がそうさせたのか、はたまた20年釣りをしてきてある程度魚釣りの全体像が見えたからなのか、釣りを始めたころのあの興奮を味わう機会は少なくなり、釣りに対してめんどくさいと感じる機会がたまに出てきました。

そして私は無理をしてまで釣りに行くことをやめました、理由は釣りを嫌いになりたくなかったからです。
一般的な釣り人が釣りをする理由は楽しいから以外ほぼないと思います。(おいしい魚を食べたいからという理由もここでは楽しいからに含ませていただきます笑)
となると楽しくなかったら釣りに行く理由がないので、釣行回数がかなり減った時期もありました。

スプーンとの再会

私がスプーンばかり使うようになったキッカケは転勤でした。
全く土地勘のない地域へ転勤となり、そこは近くに海も川もある場所でした。
GoogleMapを眺めているとこのあたりにはどんな魚がいるのだろうという感情が芽生え、引っ越し時にとりあえず万能に使えそうなライトシーバス用のパックロッドと2500番のスピニングリールも持って行くことにしました。
まずはネットで情報収集したのですが、私は専門ではないのですがWEB関係の業務にも携わっている仕事をしているためネット情報の信憑性もある程度理解しています。
フェイクとまではいかないものの、かなり適当に作られているネット記事なんてこのご時世いくらでも存在します、またSNSでいろいろ調べるのも時間がかかったりでめんどくさい。
百聞は一見に如かず、とにかく実際に釣りに行ってみることにしました。
この時にどんな場所でなにが釣れるかもほとんどわからないということで、なんとなく子どもの頃ニジマスを釣るのによく使っていたスプーンをルアーボックスに忍ばせました、ニジマスとブラックバスですがよく釣れたという記憶と、このキラキラヒラヒラした動きはいろんな魚が釣れそうというイメージと、よく飛び表層からボトムまで探れるだろうという考えから。

今思うとこの時が私の新たな釣りスタイルとの出会いだったと思います。
河口に行ったのですが、この時メッキが釣れました。
転勤前は基本的に淡水の釣り、ブラックバスを中心に釣りをしていたこともありまずメッキを釣ったのは初めて、このエリアで釣ったのは初めて、海の魚を釣ったのも何回目かぐらいの体験だったこともあり幼少期に魚が釣れた時の喜びに近しいモノがありました。
この時釣れたルアーがスプーン、たしかダイワのチヌークS4.5gだったと記憶しています。
この経験から、スプーンのポテンシャルを探るコトになるのでした。

実際にスプーンで釣れた魚

いろんな魚を釣りたいと思い立ち淡水海水問わずいろんな場所に釣りに行きました、そこで釣れた魚たちを一部ご紹介します。
全てスプーンでの釣果です。

アカハタ

アジ

オジサン

オニヒラアジ

カワムツ

シーバス

タケノコメバル

タチウオ

ラージマウスバス

ヒラメ

メバル

釣行が楽になるスプーンの釣り

ショアの釣りにおいて、いろんな重さのスプーンさえ持っていればほとんどの魚、シチュエーションに対応可能です。
私の場合、大ルアーボックスにスプーンをサイズや種類ごとに収納、釣行時にターゲットに合わせて小ルアーボックスに必要なスプーンを移して持って行くというスタイルです。
またターゲットに合わせてフックも変えた方が良いので別でフック用のボックスも用意しています、釣りに行くときは予め付け替えたり必要なフックを持って行ったりしています。

釣行時に持って行くモノとしては
・竿
・リール
・ショックリーダー
・ルアーボックス(スナップ、スプーン、フック)
・ラインカッター、フィッシュグリップ、プライヤー
・偏光グラス
これにあと足場の高い場所だとランディングネット、夜釣りだとヘッドライトぐらいであり、軽装です。
磯の場合はフローティングベストとスパイクシューズも必要ですが、ボックス等はフローティングベストのポケットに収納できるためそんなに荷物にはなりません。

釣り用のバッグにラインカッター、フィッシュグリップ、プライヤー、偏光グラスは常備してあるので竿、リール、リーダー、ルアーボックスだけをターゲットに合わせて持ち替えるだけなので準備も片付けも非常に楽、ルアーを選んだり準備する時間が短くなるためサクっと釣りに向かえます。

もちろん色んなルアーを使うというのもルアーフィッシングの楽しみのひとつだと思います、私も気になったルアーがあれば使います。
ただこの時もベースをスプーンとしているため、ボックスにそのルアーを追加するだけでokなので楽。

楽というのはそれだけで気持ちが、足が釣り場に向きやすくなったりします、めんどくさがり屋の私はこの楽さにとても助けられています。

「スプーン」というルアーとは

基本的にスプーンばかりで釣りをするようになり、スプーンの理解度が深まりました。
世の中には様々なスプーンがあります、その大部分がトラウト用です。
形状やウエイトについて、私が気づいたコトをお伝えします。

幅と重心

細いスプーン、幅広なスプーンがあります、そして中間も。
形状やカップの深さにもよりますが、基本的に傾向は出ます。

【細いスプーンの特徴】
・ロールのピッチが速い
・デッドスローで巻くとあまり動かなくなる
・フォールが早い
・ある程度速く巻いてもグルグル回りにくい
・飛距離が出やすい
・引き抵抗が軽い

【幅広なスプーンの特徴】
・ロールがワイド
・デッドスローで巻いても動きやすい
・フォールがゆっくり
・速く巻くとグルグル回転する
・飛距離が出にくい
・引き抵抗をしっかり感じる

特徴を比較すると細身の方が優れているように見えますがスプーンはスローに巻いて使うことが多いルアー、スローでもしっかり泳ぎやすいのは幅広タイプのため一概にどちらが良いと言うことはありません。

次に重心について、後方重心とセンターバランスのモノがあります。
これも傾向が出ます。

【後方重心】
・飛距離が出やすい
・フォールが早い
・バックスライドフォールしやすくなる
・デッドスローで巻いても動きやすい
・速く巻くとグルグル回転する

【センターバランス】
・飛距離が出にくい
・フォールがゆっくり
・デッドスローで巻くとあまり動かなくなる
・ある程度速く巻いてもグルグル回りにくい

後方重心にメリットを多く感じますが、これも使いどころ次第という感じです。
ただ飛距離が出やすかったりスローでもしっかり泳ぐスプーンの方が需要が高いため、既存製品ではやはり後方重心モデルの方が多く見かけます。

カップの深さと位置

ボディ形状と同じくらい動きに影響を与えるカップ。
おおまかに分けるとカップが深いスプーンと浅いスプーンがあります。

【カップが深いスプーン】
・浮き上がりにくくなる
・安定したロールアクションをする
・フォール時のヒラヒラアクションが出にくくなる
・飛距離が出にくい

【カップが浅いスプーン】
・浮き上がりやすい
・トゥイッチ等アクションを入れた際、水を掴み過ぎずキレのある動きをする
・フォール時ヒラヒラとランダムに落ちていく
・飛距離が出やすい

また深い浅いだけでなく、ボディのどこがカップになっているかという部分も実は動きに大きく影響を与えます。
これを意識したことがあるアングラーは少ないのではないでしょうか、あるという方は相当マニアックです笑

【後方だけが凹んでいるスプーン】
・バックスライドフォールしやすい
・ロールだけでなくややウォブリングも伴う動きになる

【中腹あたりから全体的に凹んでいるスプーン】
・ゆっくりフォールし、前後にどんぶらこどんぶらこと落ちていきやすい
・安定したロールアクションをする

カップの位置はリトリーブ時、フォール時の動き方に直接影響を与える要因となっています。

厚み

そして最も重要と言っても過言ではないのが「自重」と「板厚」の関係。
スプーンのウエイトは面積×厚みで決まります。(同素材の場合)
同じ重さでもシルエットが大きくて薄いモノや小さくて分厚いモノがあります。
こちらもまず特徴を羅列します。

【薄いスプーン】
・動きにキレがある
・スロー~ファストまでしっかり泳ぐスピードレンジが広い
・フォールがゆっくり
・飛距離が出にくい
・シルエットが大きくなる

【分厚いスプーン】
・動きが安定しにくい
・デッドスローだと動かない
・速く巻きすぎるとグルグル回転する
・フォールが早い
・よく飛ぶ
・シルエットが小さい

基本的にスプーンは薄いほど良い動きをします、アクションレスポンスも良く総合的に見ると薄いスプーンの方が優位性は高いです。
しかし実際の釣り場では「風で飛ばない、遠投が必要」、「底を取る必要がある」、「シルエットを小さくしたい」といった状況も必ず出てきます。
このような状況下においてはそもそも魚のいるゾーンにルアーを届ける必要が出てくるため、一概に薄いスプーンが良い!とは限りません、適材適所です。
薄すぎたり分厚すぎるスプーンは使う場面が限られてきますので、結局適度な厚みのスプーンが万能にはなってきます。

上記の通り、幅や重心、カップ、厚み等の組み合わせで各スプーンの特性はいくらにでも変わってきます。
そして最後にもうひとつ、非常に重要なのが「曲げ」です。
テール側、フロント側をどれくらい曲げるか、どこから曲げるか、どのように曲げるか。
この「曲げ」に関しては形状や厚みによって傾向が変わりやすいという性質があります。
分厚いスプーンを動かす為にテール側を大きく曲げる、軽くて薄いスプーンをハイピッチで泳がせる為に曲げすぎない、浮き上がりを抑えるためにフロント側の曲げを強くするが曲げすぎると動きが破綻する等、これらも形状が違うスプーンだと違う効果が出たりします。

見た目である程度の特徴を掴むことはできますが、結局は総合的な設計によってそのスプーンの性格や良し悪しが決まります、スプーンとはシンプルですがなかなか奥が深いモノです。

また、ブラックバスやシーバスで使用するマグナムスプーンと呼ばれる非常に大きなスプーンがあります。
マグナムスプーンは基本的にリフト&フォールで使うコトを前提に設計されており、そのウエイトの割に板厚は薄いです。
シルエットが極めて大きく、また遠投性能が低いため万能には使えない特殊なスプーンですが、そのフォールの遅さからもバスやシーバス以外にも活躍するシーンがあるのではないかとも感じています。

おすすめのスプーン

当サイトの別記事と重複してしまいますが、おすすめのスプーンをより掘り下げてご紹介します。

ベネター(ブラスビー)

一番よく使うスプーン。
他のスプーンはトラウト用に設計されているのに対しベネターはターゲット無制限の汎用型スプーン、私のスタイルに最もマッチし相棒と言えるルアーです。
スロー~早巻きまで対応してよく泳ぐ、フォールアクション良し、足場の高い場所や潮の速すぎる場所以外ではほぼベネターのみで釣りが成立します。
4.5gでメバル等のライトゲーム、14gでシーバスやフラットフィシュやバス、8gは穴埋め的なサイズで常備しています。
フックをターゲットに合わせて替えるだけで様々な魚が釣れるのでもうこれだけで良いんじゃない?って思えるルアーです笑

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チヌークS(ダイワ)

チヌークS14g、私の基準とも言えるスプーンです。
14gのスプーンにおいては最強。
動き、機能性ともに◎、このサイズのスプーンでは最も万能です。
主に使う釣りはシーバス、フラットフィッシュ、ハードロック、ブラックバス等。
また4.5gは肉厚設計の機能性重視コンパクトスプーン、ライトソルトゲーム全般で出番。
7gはアクションが素晴らしい薄型設計、ライトゲームからシーバスのマイクロパターン、また小規模エリアのブラックバスなんかにも、シャローで活躍するスプーンです。
21g、25gは極厚設計、サーフや磯で使います、フラットフィッシュやハードロックで出番多数。

クルセイダー(ダイワ)

クルセイダー2.5gはライトゲーム全般において必要不可欠なスプーン。
適度な厚みがあり機能性が高く、メバル、アジ、ライトロック、メッキ、カマス、カワムツ等への大エース。
小物狙いをこのスプーンなくしては語れません。
またそれより少し重い4gもライトゲーム全般に。
7g、13g、17gはチヌークSの7g、14gと同じようなシーンで登場しますが、こちらは比較的ワイド形状でカップが深いスプーンとなっており、ゆっくりと同じレンジをキープしながら通してきたい時に使いやすいです。

ツインクルスプーンNA(タックルハウス)

NAとはノンストップアクションの略、その名の通りスロー~ファストまで幅広いスピードレンジで使用できる万能スプーンです。
4.5gはメバル、ライトロック、メッキ、カマス等のメインルアー。
8.5gは小場所のシーバスやマゴチ、ブラックバスなんかに使います、6.5gはその中間ですがメインはライトゲームで。

モアシルダ(ブルーフォックス)

22gがフラットフィッシュ、ハードロック、シーバスで大活躍。
ただ分厚いだけでなく、シルエットを持たせて設計されたこの22gが上記ミドルゲームにベストマッチ。
チヌークSの21g、25gと比べて機能性一辺倒ではなく、動きの良さとのバランスが取れた万能ヘビーウエイトスプーンです。
6gはメバルやアジには少し大きいですが状況次第で出番あり、メッキやカマスにマッチします。
10gはツインクルスプーンNA8.5gと同じような使い方を。

ピュア(スミス)

1.5g~18gまであり、ショアからのマイクロゲーム~ミドルゲームまで多様に対応。
スプーンの中で最も有名と言っても過言ではないピュアですが、意外と万能選手と言うよりはドンピシャでハマる時があるようなスプーン。
それはとにかくスローに巻いてきたい時です。
ピュアは低速域で非常に安定した良いアクションをします、とにかくゆっくり通してきたい時に重宝するスプーンであり、また実際にそのような状況は少なくありません。

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そしてスプーン全般に言えることですが、例えば沖縄や離島、はたまた海外遠征にめちゃくちゃオススメです。
普段釣っていない魚や場所で釣りをすることになるので、100点ドンピシャのルアーを持って行くことはガイドでもつけない限り難しい。
スプーンであればほとんどの魚に対応できますし、携行するにもかさばらない。
そしてこれはスプーンの大きな武器のひとつですが、極めて「タフ」。
ワームはもちろん、ハードルアーであってもプラスチック製であれば使用中に破損する可能性があります。
遠征先でそのルアーを使えないとなると痛手、スプーンは基本的に真鍮でできておりロストしない限りまず壊れることはありません。
この「タフさ」が遠征ではとても心強くなります。

釣りのスタイルは人それぞれ、どのスタイルが、どの釣りが良い悪いとか上とか下とかありません。
モラルを持ってルールとマナーさえ守れば楽しんだもん勝ち、この記事ではこんな釣りのスタイルも楽しいですよ~というコトをお伝えさせていただきました。
私は自分と違う釣り方や違うターゲットを狙っている釣り人の話を聞くのが好きです、結局いろんな釣りが大好きなのです。
改めて釣りが好きになった、そのキッカケをくれたのが「スプーン」というひとつのルアーでした。

皆様も釣りの入口として、新たな魚種への入口として、今狙っている魚への新たな一手として、ぜひ一度試しにスプーンを投げてみてもらえると嬉しいです。

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